先日、智頭町の芦津集落で開催された、
芦津集落建物活用ワークショップに参加
しました。右手と智頭は峠を境にした隣
接した場所です。どちらも杉・ヒノキの
針葉樹が景観を作っているため、一見す
ると違いは分かりづらく、普段は車で通
り過ぎる場所。
谷あいの山村集落なので右手と似たような
景観かなーと思っていましたが、全然違い
ました。国の重要文化的景観の内に位置す
る集落で林業を生業として暮らしてきたと
のこと。
この日は、ワークショップの全体の説明の
後に参加した村の人たちと一緒に街歩きを
しました。まず、気になったのは水路。北
俣川の本流から集落内にバイパスさせて、
町全体に水路が張り巡らされている。水は
生活水の活用、融雪水の利用、そしてこの
集落の特徴的な要素である「イトバ」とい
う収穫した野菜を洗う場所を各戸で保有し
ており、パブリックな水路にプライベート
空間がデコボコと出ている。集落内には河
川の他に湧き水が出ている箇所が2か所ほ
どあり、そこの水温は年間を通して14℃程
度。
暮らしでいうと、主に村田姓、綾木姓、寺
本姓の人たちが住んでいるらしく、その同
姓の集まりのことを「カブ」といい、それ
ぞれ籠り堂(集会所)を所有していると。
私の住んでいる中右手集落も右手姓、小阪
姓、小林姓の人たちが生活している集落。
くくりの事をどういう風に呼び合っている
かわからないが、年に一度、先祖祭りとい
う寄合がある。右手は籠り堂がない代わり
に毎年持ち回りで各戸で開催されている。
その他で気になったことは、各戸の区画が
比較的コンパクトで田畑も少ないように思
えた。岡山でよく見る集落は圃場整備がな
されている集落も多いので田の面積が比較
的大きい。そして、日の一番当たるところ
が畑や田、そのわきに住居が控え、さらに
背面に山を背にするなど、田と住居のレイ
ヤーが明確に分かれている。しかし、芦津
集落はそれがない。入り組んでいる。ゆえ
に、全体を見通せる場所も少なく、路地も
多くあり、なんとも街的な風景だ。
面白い!面白い!
生業や信仰によって集落構成がこんなにも
変わるのか―と大興奮した一日でした!